多重債務に陥った債務者の借金を法律によって整理し、経済的更生を図る手段を総称して、債務整理と呼んでいます。債務整理には、任意整理、自己破産、民事再生があり、それぞれ長短を有しています。
各手続の比較です。詳しくは各手続の項目をご参照ください。
項目 | 任意整理 | 自己破産 | 民事再生 |
手続の基本構造 | 徴収されていた高金利を法定の上限金利(15〜20%)で再計算し、債務を削減する。過払い金が発生している場合には返還を受ける。 | 生活必需品と再出発のための財産(総額99万円が上限)を除いた財産を失う代わりに、債務を帳消しにしてもらう。 | 債務の20%、債務者の純資産、100万円の中で、最も多い金額を3年間分割で支払い、残りの債務を免除してもらう。 |
保持可能財産 | 制限なし | 生活必需品のほかは合計総額99万円が上限。 | 制限なし。ただし、財産が多い場合、民事再生計画による支払総額が増加する。 |
住宅について | 処分の必要なし | 原則として処分 | 住宅資金特別条項が使用できれば、保持可能。 |
車について | 自動車ローンが支払える場合には、処分の必要はない。 | 自動車の中古価値が99万円の自由財産枠(他の財産と合算して)を超える場合及び自動車ローンがある場合には処分。 | 保持可能。ただし、自動車ローンがある場合は原則として処分。 |
特定の債権者のみ 除外できるか |
可能 | 法定の例外以外不可 | 法定の例外及び住宅ローン以外不可 |
裁判所の関与 | なし | あり | あり |
管財人・再生委員 の関与 |
なし | 事業を営んでいた場合、財産のある場合、免責許可に調査を要する場合については管財人が選任され、財産の換金と破産者の調査を行う。 | 弁護士申立の場合、基本的には再生委員は選任されない。ただし事情によっては再生委員が選任される場合がある。 |
税金・社会保険料 | 影響なし | 影響なし | 影響なし |
浪費の影響 | 影響なし | ギャンブル、遊興費等生活に不必要なことに借入の大部分を費やしている場合には、免責(借金の帳消)が認められない場合がある。 | 影響なし |
事業者の事業継続 について |
事業には影響なし | 事業の廃止・清算が原則 | 継続可能な場合もあり |
どんな人に 向いているか |
取引期間が長い人ほど、債務削減の効果が大きい。高金利を徴収してきた貸金業者に既に債務を完済している人は、過払い金を取り返せることが確実である。債務をゼロにした上に過払い金が手元に残る場合もある。 | 債務は、免責によって、税金・社会保険料等を除き全て消滅する。ギャンブル等生活に不必要なことに借入の大部分を費やしている場合には、免責を受けられないことがある。 | ギャンブルその他の浪費があっても可能である。住宅資金特別条項の制度があり、要件を満たせば住宅を残すことができる。 |
どんな短所があるか | 取引期間が短い場合やもとも低い金利しか利息を徴収していない銀行等からの借入の場合は効果が薄い。 | 保持可能財産は、生活必需品と自由財産(上限総額99万円)に限られる。 | 一定の金額を民事再生計画認可後3年間分割で支払わなければならない。 |